瑠璃寺の青獅子


    瑠璃寺の青獅子15


のみを研いでいると、ざわざわし
ていた心が消え、心が静かになり
ました。



男は、寝る間もおしみ、獅子頭
彫りつづけました。
いつ食事をしたのか、いつ寝たの
か、すぐには思い出せないほど、
獅子頭を彫ることに熱中していま
した。



梅雨があけた頃、ようやく獅子頭
の荒彫りが終わりました。
「獅子よ。やっと荒彫りが終わっ
たぞ。早く目をさましておくれ」
男は、いとおしそうに何度も獅子
頭をなでました。


            つづく



「瑠璃寺の青獅子」は、信州高森
町の瑠璃寺に伝わっている話をヒ
ントにして、みほようこが書いた
物語。



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