瑠璃寺の青獅子16
荒彫りが終わると、目・まゆげ・
鼻・あごなどを、一つ一つていね
いに彫っていきました。
「ほら、おまえの目ができたよ。
大きな目だね」
「どうだ、りりしいまゆだろ。
気にいったかい」
「このまあるい大きな鼻。これが
おまえの鼻だよ」
そう獅子に話しかけながら、男は
細部を彫っていきました。
苦労したのは、上顎と下顎の部分。
いくら彫っても、うまくいきません。
「あごを彫るのは、むずかしいのう」
男は、あごの部分を、何度も彫りな
おしました。
上顎と下顎をきりわけることも、難
しい作業でした。
その作業も、無事に終わりました。
つづく
「瑠璃寺の青獅子」は、信州高森
町の瑠璃寺に伝わっている話をヒ
ントにして、みほようこが書いた
物語。
童話「瑠璃寺の青獅子」、無断転載・
再配布を禁止します。