瑠璃寺の青獅子17
後は、舌と歯・耳を彫るだけにな
りました。
「どれ、おまえの舌をみせてごらん」
「おまえの歯は、大きいのぅ。
何本あるかな」
男は、獅子に話しかけながら、少
しずつ彫っていきました。
やっと、獅子頭が彫りあがりました。
「獅子よ。ようやく彫りあがったぞ。
おまえは、わしが初めて彫った大
切な獅子頭じゃ。
さあ、獅子よ。早くでておいで」
男は、大声で獅子をよびました。
そして、彫りあがった獅子頭を、や
すりでみがいていきました。
ざらざらしていた獅子頭がすべすべ
になり、獅子頭らしくなりました。
つづく
「瑠璃寺の青獅子」は、信州高森
町の瑠璃寺に伝わっている話をヒ
ントにして、みほようこが書いた
物語。
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