瑠璃寺の青獅子18
和尚に会ってから、どのくらいの
月日がすぎたのでしょうか。
夢中で獅子頭を彫っていた男には、
どのくらいの日数がすぎたのか、
けんとうもつきませんでした。
さわやかな秋になりました。
不動滝のまわりの木々も、赤や黄色
に紅葉しはじめました。
「仏師に会ってから、五カ月。依頼
した獅子頭は、どのくらいできただ
ろうか」
和尚は、不動滝のそばにある仏師の
小屋を訪ねました。
小屋の中をのぞいた和尚は、あっと
驚きの声をあげました。
そこには、ひげだらけの男がいました。
男は、いつひげをそったのでしょうか。
黒かった髪も、長くのびたひげも、
真っ白でした。
つづく
「瑠璃寺の青獅子」は、信州高森
町の瑠璃寺に伝わっている話をヒ
ントにして、みほようこが書いた
物語。
童話「瑠璃寺の青獅子」、無断転載・
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