瑠璃寺の青獅子


    瑠璃寺の青獅子25


わしは、たしかに青い獅子をみた。
うおーっとさけぶ不気味な獅子の
声も聞いた。
夢でない証拠に、着物がびっしょ
りじゃ」
雨でぬれた着物をみて、和尚がつ
ぶやきました。



和尚は、滝つぼへおりて行きました。
すると・・・。
どこからかおごそかな声が聞こえ
てきました。



「仏師よ。おまえのおかげで、わ
しは何百年もの長い眠りからさめ
ることができた。ありがとう。
ある日、わしは、桐の木にとじこ
められてしまったのじゃ。



今まで、わしのことを気づいてく
れた人は、誰もいなかった。
だから、わしは二度と外へでるこ
とはできないとあきらめておった
のじゃ。


           つづく



「瑠璃寺の青獅子」は、信州高森
町の瑠璃寺に伝わっている話をヒ
ントにして、みほようこが書いた
物語。



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