白駒の池物語


  白駒の池物語38


「おじょうさまと清太は、ほんと
に仲がいいね。兄と妹みたい。
いや、それ以上かな」
やしきで働いている人たちは、きよ
と清太のことを、温かく見守ってい
ます。 
 


梅雨があけたある日。
きよが、馬小屋へやってきました。
「清太さん。ゆうすげの花って、
みたことある?」 
「あるよ。一度だけ」
「どこでみたの」



「何年か前、長者のおともで、夕
方霧ケ峰高原を通ったことがある。
その時、どこからかいい香りがし
てきた。何の香りだろうと近づい
てみたら、レモン色の美しい花が
咲いていた。



それが、ゆうすげの花だった。
おれ、もう一度、ゆうすげの花が
みたいな」
清太は、ゆうすげの花を思い出し
ながらいいました。


           つづく



「白駒の池物語」は、信州佐久にあ
る「白駒の池」に伝わっている話を
ヒントにして、みほようこが書いた
物語。



昨日(9月12日)の分は、こちら。


   白駒の池物語37


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20080912#p1




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    白駒の池物語1


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20080807#p1



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