平成の歌7


吾が膝にたまりし水と医者が示す

   注射器の中の黄なる液体



逝きし兄に代れるものなら代りたしと

   嘆き居し母の今日十四回忌



医者の身で五十才で逝きし兄の訃を

   受けし日のごと郭公の鳴く



生漆の強く臭ふ工房に

   のみのさばきを息つめて見る