平成の歌9


防火用水を音立てて飲む野良猫の

   痩せし背に秋の日のさす



トンネルを抜けしまなかひに遠山峡の

   盛る紅葉の山並の見ゆ



静まれる平岡ダムに影落し

   飛行機雲の西に伸び行く



天皇の落葉がくれに瑞々し

   藪柑子の朱実色冴えて見ゆ