鹿になった観音さま


    鹿になった観音さま1


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20080213#p1



「鹿になった観音さま」は、信州
伊那谷の「立石寺」に伝わってい
る話をヒントにして、みほようこ
が書いた物語。



「次の日」「次の日」とおせば、
「鹿になった観音さま」を続けて
読むことができます。



    「鹿になった観音さま」より


「がさっ」
「ごそっ」
どこかで音がしました。



すると、
突然、目の前に、びっくりするよ
うな大きな鹿がとびだしてきました。
黄金色の美しい鹿でした。
鹿の体は、黄金のように、ぴかっ
ぴかっと光っています。



「わぁーっ。黄金色の鹿だぁ」
三郎は、びっくりして大声をあげ
ました。
「うー、うー、うー」
「わん、わん、わん」
タケルとチハヤが、鹿のまわりで
ほえています。



鹿が、三郎にむかって突進してき
ました。
「あぶないっ」
危険を感じた三郎は、弓をかまえ
ました。



「えいっ」
三郎は、鹿をめがけて弓をひきま
した。
「ばしっ」
鹿の首に矢がささりました。
「ばたんっ」
大きな音をたて、鹿がたおれました。



「黄金色の鹿をいとめたぞー」
そうさけんだ時、鹿はどこかへ姿
を消してしまいました。
あっという間のできごとでした。