平成の歌14


花見むと来しユリの木の枯れがれて

   根元に一枝伸び立つ緑



歌などは教へられるべきものにあらずと

   詠まれし先生のみ歌心に沁みぬ



去り難く娘と立つ墓辺に在りし日に

   夫の植ゑたるハナノキの花



梅雨明けて夏の日光の漲る庭

   蝉のぬけ穴日毎増しきぬ