赤い夕顔の花が咲いた


     赤い夕顔の花が咲いた1


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080805#p1



「赤い夕顔の花」は、信州の最南
端にあった「権現城」に伝わって
いる話をヒントにして、みほようこ
が書いたもの。



 「赤い夕顔の花が咲いた」より


三人が農家の庭先を立ち去ろうと
した時、
「こらぁー、花どろぼうめ。待てー」
どこからか、大きな声が聞こえました。



そして、おばあさんが飛び出してき
ました。
おばあさんは、長五郎の手から、無
理やり夕顔の花をひったくりました。
長五郎は、何がおこったのかわから
ず、おびえています。



「申し訳ございません。ことわりもな
く、夕顔の花を一ついただきました。
どうか失礼をお許しくださいませ」
お万が、おばあさんにわびました。



「みかけない顔じゃが、どなたじゃ」
「私は・・・」
「奥がたさま。名前をなのってはいけ
ません」
そうべえが、小声でいいました。



「何、この人が、奥がただと。
どこの奥がたじゃ。こんなうす汚いか
っこうをして、奥がただなんて聞いて
あきれる。



わしでさえ、そんな汚いかっこうはせ
んわ。奥がただなどと、たわけたこと
をいうものではない」
おばあさんがはきすてるようにいいま
した。