鹿になった観音さま


    鹿になった観音さま1


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20080213#p1



「鹿になった観音さま」は、信州
伊那谷の「立石寺」に伝わってい
る話をヒントにして、みほようこ
が書いた物語。



「次の日」「次の日」とおせば、
「鹿になった観音さま」を続けて
読むことができます。



 「鹿になった観音さま」より


「和尚さま。た、大変です」
「どうしたのじゃ。三郎さ」
「裏山に、こんなものが落ちてい
ました」
三郎は、観音さまを和尚にわたし
ました。



「三郎さ。これは、観音さまでは
ないか。どうしたのじゃ」
「はい、和尚さま。裏山へ行ったら、
大きな黄金色の鹿が、突然わしにお
そいかかってきました」



「何? 黄金色の鹿だと。
この世に、そんな鹿がいるのか」
「いません。多分いないと思います。
わしも、初めてみました。



その鹿は、美しい黄金色の鹿でした。
しかも、びっくりするような大きな鹿。
その鹿が、突然わしにおそいかかっ
てきたのです。
わしは、その鹿を、弓でいとめました」



「三郎さ、そのいとめた鹿は、どう
したのじゃ」
「和尚さま。その鹿は・・・」
「どうした。三郎さ」
「目の前から、姿が消えてしまった
のです」



「何? いとめた鹿が、消えてしま
ったと。
三郎さ、夢でもみていたのではない
のか」
和尚がいいました。