かきつばたになった少女


 かきつばたになった少女1


昔、昔、ずぅーと昔。
神様が、私たち人間と同じ国に住
んでおられた頃のお話です。



八ヶ岳のふもとの高原には、おお
ぜいの女神さまたちが住んでいま
した。
その中に、「かきつばた」という
名前の、美しい少女がいます。



かきつばたは、ある神様の一人娘
でした。
神様は、たった一人の娘を、宝物
のように大切にしています。



女神さまたちは、みんな美しいか
たばかりでしたが、かきつばたの
美しさは格別でした。
黒い長い髪、すきとおるような白
い肌、小さなかわいいくちびる、
うっすらと紅をさしたようなほお、
すらりとした体、澄んだ清らかな
ひとみ。



かきつばたのひとみは、いつもき
らきら輝いていました。
かきつばたをみた人は、あまりの
美しさにびっくりしました。


            つづく


「かきつばたになった少女」は、
みほようこの四冊目の童話集・
「ライオンめざめる」に収録さ
れています。


 
童話集「ライオンめざめる」は、
2006年10月、「鳥影社」
から発行されました。






「ライオンめざめる」裏表紙