開善寺の早梅の精


   開善寺の早梅の精14


そうです。
文次の前にあらわれた女の人は、
月香寮の前に咲いている早梅の精
だったのです。



 梅の花匂ふ袂のいかなれば

   夕暮れごとに春雨の降る



文次は、「あの人の香りが残る袖
は、毎夜私の涙でぬれている」と
いう意味の歌をよみました。
文次は、梅香のことがわすれられ
なかったのです。



この歌をよんだ数日後。
文次は、戦場でなくなりました。
「この世の最後に、梅香さんと歌あ
わせができて、わしは幸せだった。
梅香さん、ありがとう」 
そういって、文次はあちらの国へ旅
立っていきました。


          おわり



   昨日の分は、こちら。


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