女神さまとの約束


   女神さまとの約束36


「女神さまも、毎日この木の実を
食べていますよ。
でも、名前はしりません」
白駒も、木の実の名前を知らない
ようでした。


 
それから、十年がすぎました。
硫黄岳の生活は、夏は涼しく快適
でした。
夏の間は、白駒の背に乗って、硫
黄岳を散歩します。
ふくは、コマクサやウルップソウ
などの花をみるのを、楽しみにし
ていました。



でも、冬は寒さがきびしく、雪が
何メートルも積もります。
雪は、六月末までとけません。
部屋の中はあたたかでしたが、何カ
月間も毎日雪をみてくらさなくて
はなりません。



ふくは、けわしい岩場の生活に、
だんだんあきてきました。 
病人をすくうことに、むなしさを
感じるようになっていました。


           つづく



     昨日の分は、こちら


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091031#p1



     初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090923#p1



「女神さまとの約束」は、信州の
佐久にある湖・白駒の池に伝わっ
ている話をヒントにして、みほ
ようこが書いた物語。