瑠璃寺の青獅子5
「祭は、いつですか」
「祭は、一昨日すんだばかりじゃ。
例年は、満開の桜の下で、獅子舞
がおこなわれるのだが、今年は花
が咲くのが遅くてのぅ」
「そうでしたか。獅子舞をみたい
と思ったのに、残念ですな」
「その祭につかう獅子頭を、そな
たに作ってもらいたいのじゃ」
「獅子頭ですか・・・」
男は、なぜか迷っています。
「そう、生きているようにみえる
獅子の頭。
頭をみたこどもが、驚いてわぁー
と泣きだすような、そんな獅子頭
を作ってほしい」
「生きているようにみえる獅子の
頭ですか。難しい注文ですな」
「無理かのぅ」
「そんな獅子頭が、彫れるかどう
かわかりませんが、やってみまし
ょう」
つづく
昨日の分は、こちら
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091109#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091106#p1
童話「瑠璃寺の青獅子」は、
信州高森町にある瑠璃寺に伝わっ
ている「青獅子」の話をヒントに
して、みほようこが書いたもの。
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