瑠璃寺の青獅子14
のみを研いでいると、ざわざわし
ていた心が、すぅーと静かになり
ました。
男は、寝る間もおしみ、夢中で獅
子頭を彫りました。
いつ食事をしたのか、いつ寝たの
か、すぐには思い出せないほど、獅
子頭を彫ることに熱中していました。
梅雨があけた頃、おおまかな形が
できあがりました。
「獅子よ。早く目をさましておくれ」
男は、獅子頭を何度もなでました。
おおまかな形ができると、目・まゆ・
鼻などを、彫っていきます。
「ほら、おまえの目ができたよ。
大きな目だね」
「どうだ、りりしいまゆだろ。
気にいったかい」
つづく
昨日の分は、こちら
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091119#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091106#p1
童話「瑠璃寺の青獅子」は、
信州高森町にある瑠璃寺に伝わっ
ている「青獅子」の話をヒントに
して、みほようこが書いたもの。
無断転載・再配布を禁止します。