瑠璃寺の青獅子23
和尚は、あまりの恐ろしさに、そ
の場にすわりこんでしまいました。
和尚がはっと我にかえると、雷雨
はやみ、空には太陽がでていました。
「ああ、こわかった。こんなこわ
い思いをしたのは、初めてじゃ。
わしは、悪い夢をみていたのだろ
うか。いや、夢ではない。
わしは、たしかに青い獅子をみた。
うおーっとさけんでいる獅子の声
も聞いた。
夢でない証拠に、着物がびっしょ
りじゃ」
雨でぬれた着物をみて、和尚がつ
ぶやきました。
和尚は、滝つぼへおりて行きました。
どこからかおごそかな声が聞こえて
きました。
「仏師よ。おまえのおかげで、わし
は何百年もの長い眠りからさめるこ
とができた。ありがとう。
つづく
昨日の分は、こちら
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童話「瑠璃寺の青獅子」は、
信州高森町にある瑠璃寺に伝わっ
ている「青獅子」の話をヒントに
して、みほようこが書いたもの。
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