鹿になった観音さま


   鹿になった観音さま3


そこへ、甲賀三郎兼家が通りかか
りました。
三郎は、鹿狩りの名人。
毎日山へ行き、鹿やいのししなど
をとっています。
三郎の家は、村一番の金持ちでした。



「和尚さま。裏山で、タケルとチ
ハヤがほえているが、どうかした
のかね」
「三郎さ。ちょうどいい所へきて
くれた。
悪いが、裏山へ行って、タケルた
ちの様子をみてきてくれないか」



「タケルたちは、いつからほえて
いるのですか」
「十五分くらい前からかのぅ。
最初は、本堂の前でないておった。
その後、なにかを追いかけるように、
裏山へ走って行った。
三郎さ、裏山になにかいるのだろ
うか」


            つづく



     昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100208#p1



     初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100207#p1



「鹿になった観音さま」は、信州の伊
那谷にある「立石寺」に伝わっている
話をヒントにして、みほようこが書い
たもの。