鹿になった観音さま6
危険を感じた三郎は、思わず弓を
かまえました。
「えいーっ」
三郎は、力いっぱい弓をひきました。
「ばしっ」
鹿の首に、矢がささりました。
「ばたんっ」
大きな音をたて、鹿がたおれました。
「黄金色の鹿を、いとめたぞー」
三郎がそうさけんだ時、鹿はどこか
へ消えてしまいました。
あっという間のできごとでした。
「おかしいな。たしかに、首に矢
がささったのに」
ふしぎなことがあるものだと、三
郎は思いました。
血のついた矢が、地面に落ちてい
ます。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100211#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100207#p1
「鹿になった観音さま」は、信州の伊
那谷にある「立石寺」に伝わっている
話をヒントにして、みほようこが書い
たもの。