鹿になった観音さま


    鹿になった観音さま7


「黄金色の鹿は、どこへ消えてし
まったのだろう」
三郎は、鹿をさがして、山の中を
歩きました。
気がつくと、タケルとチハヤの声
が聞こえません。



「タケル」
「チハヤ」
三郎は、大きな声で、犬たちをよ
びました。
でも、犬たちはどこにもいません。
二匹の犬は、どこへ行ってしまっ
たのでしょうか。



大きな杉の木の下を通った時、根
元で「ぴかっ、ぴかっ」と光って
いるものがありました。



「なんだろう」
近づいてみると、小さな観音さま
でした。
身の丈は、二寸(六センチ)くらい。
黄金色の小さな観音さまでした。


          つづく



     昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100212#p1



     初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100207#p1



「鹿になった観音さま」は、信州の伊
那谷にある「立石寺」に伝わっている
話をヒントにして、みほようこが書い
たもの。