鹿になった観音さま


   鹿になった観音さま12


「どうしたのですか。和尚さま」
「三郎さ、みてごらん。観音さま
の頭から、小さな観音さまが一つ
消えている」
「観音さまが、一つ消えている?」



「ほら、あそこ」
よくみると、小さな観音さまが、一
つ消えています。
「ほんとうだ」
 二人は、びっくりしました。



「三郎さ。黄金色の鹿は、観音さ
まの化身だったのかもしれんぞ」
「えっ? 鹿が、観音さまの化身・・・」
「そうじゃ」
「じゃあ、わしは・・・観音さまに・・・
矢をむけたということですか」


            つづく



     昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100217#p1



     初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100207#p1



「鹿になった観音さま」は、信州の伊
那谷にある「立石寺」に伝わっている
話をヒントにして、みほようこが書い
たもの。