鹿になった観音さま


  鹿になった観音さま13


「そういうことになるかのぅ」
「和尚さま。わしは、おそれおお
くも、観音さまに矢をむけてしま
いました。
どうしたらいいんじゃ」
三郎は、観音さまに矢をむけたこ
とを、くやみました。



すると、
「三郎さは、あけてもくれても、
毎日鹿狩りをしている。
いいかげんに、殺生をやめたらど
うかと、観音さまがいっているの
かもしれんぞ。



鹿は、神様や仏さまのおつかいを
している動物じゃ。
三郎さは、鹿狩りの名人。観音さ
まは、おつかいをしてくれる鹿が
いなくなってしまうのではないか
と、心配されたのじゃろう。



わしも、三郎さに『もう鹿狩りは
やめたらどうか』と、忠告しよう
と思っていたところじゃ」
三郎は、和尚のことばを聞き、は
っとしました。


            つづく



     昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100218#p1



     初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100207#p1



「鹿になった観音さま」は、信州の伊
那谷にある「立石寺」に伝わっている
話をヒントにして、みほようこが書い
たもの。