鹿になった観音さま


   鹿になった観音さま15


大きな杉の木の根元に、犬の形を
した二つの石がころがっています。
「タケル、チハヤ。なぜ石になっ
てしまったのじゃ」
和尚は、二つの石をなでました。



そして、お経をあげました。
二人は、石になった犬たちをつれ
て、寺へ帰りました。



その後。
三郎は、大好きな鹿狩りをやめま
した。
そして、田畑や山林など、全財産
を寺に寄進しました。
三郎は、寺の仕事を手伝いながら、
心静かに暮らしています。



三ヶ月後。
和尚は、いつものように、石にな
った愛犬たちに、お経をあげてい
ました。


          つづく



     昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100220#p1



     初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100207#p1



「鹿になった観音さま」は、信州の伊
那谷にある「立石寺」に伝わっている
話をヒントにして、みほようこが書い
たもの。