火とぼし山6
「私、次郎さんと別れるなんて、
いや。ぜったいにいや」
きよは、大好きな次郎とはなれて
暮らす生活なんて、考えられませ
んでした。
「おらも、きよちゃんと別れるの
はつらい。
でも、仕事だからしかたがない」
次郎は、割り切っているようでした。
「次郎さん。引越しをしても、私
と会ってくれる?」
「もちろん。きよちゃん、時々会
おうね」
「どうやって会うの」
「おらは、あまり休みがない。
だから、夜しか会えない」
次郎がさみしそうにいいました。
「じゃあ、私が会いに行くわ」
「えっ、きよちゃんが」
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100313#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。