火とぼし山10
第二章 再会
七日がすぎました。
今日は、次郎と会う日。
早めに仕事を終えたきよは、西山
に太陽が沈む頃、次郎が住む村に
向かって出発しました。
「とうちゃん、かあちゃん。
行ってきます」
「きよ、気をつけて行くのだよ。
次郎君によろしくな」
父と母が、庭先まで見送ってくれ
ました。
「今夜は、次郎さんに会える」
そう思うと、心がはずみます。
きよは、何時間もかかる遠い道の
りも、真っ暗な夜道も、次郎に会
えると思うと少しも苦になりませ
んでした。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100317#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。