火とぼし山12
小さな火をみてから、一時間後。
やっと、次郎の所へたどりつきま
した。
家を出てから、どのくらいの時間
がたっているのでしょうか。
「次郎さん。会いたかったわ」
きよは、次郎にかけよりました。
「きよちゃん。ほんとにきてくれ
たのだね。ありがとう。
おらも、きよちゃんに会いたかった」
次郎は、笑顔できよを迎えてくれ
ました。
次郎の笑顔をみたとたん、きよは
疲れがいっぺんにふきとびました。
「次郎さん。この一週間、とても
長かったわ。
時間が止まっているのではないか
と思ったくらい」
「おらも」
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100319#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。