火とぼし山13
二人は、再会できたことを、心か
ら喜びました。
「はい、次郎さん。むすびよ」
「むすび?」
「次郎さんに食べてもらおうと思
って、持ってきたの。さあ、食べて」
きよは、むすびをわたしました。
「うまいっ」
「おいしいでしょ。次郎さん」
「うん、おいしい。きよちゃん、中
に入っている梅ぼしも、おいしいね」
「その梅ぼし、私がつけたの」
「へぇー、上手につかっているね。
きよちゃん。このむすび、温かいけ
れど、どうしたの」
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100320#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。