火とぼし山18
こんな寒い日に、湖に落ちれば死
んでしまいます。
きよは、氷の厚そうな所をみつけ、
そろそろと歩いていきました。
「おや? 氷の上を、誰か歩いて
くる。誰だろう」
明神さまは、あわてて岸にあがり
ました。
明神さまは、諏訪地方を守ってい
る神様。
農耕の神様・狩猟の神様・風の神
様ともいわれています。
明神さまは、下諏訪に住んでいる
奥さんの所へ行く途中でした。
「娘か。こんな寒い夜、あの娘は
どこへ行くのだろう」
娘のことが気になった明神さまは、
そっと後をつけました。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100325#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。