火とぼし山23
「ここへくる途中、湖の氷の上で、
娘に会ってのぅ」
「氷の上で、娘さんに?」
「湖の氷は、まだ薄い。
娘が湖に落ちたら大変だと思って、
そっと後をつけたのじゃ。
娘は、青年に会うために、山の中
へ入っていった。
うらやましいくらい仲のいいカッ
プルだったよ」
明神さまは、奥さんに娘の様子を
話しました。
その夜。
明神さまは、けらいの手長と足長
をよびました。
「明神さま。何かご用でしょうか」
「夜遅く、もうしわけない。
早速じゃが、二人に頼みたいこと
があるのじゃ」
「なんでございましょう」
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100330#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。