火とぼし山


    火とぼし山26


次郎は、きよのさみしそうな姿を
みるたびに、心が痛みます。
でも、住みこみで働いている次郎
には、どうすることもできません
でした。



湖に氷がはっている間、二人は何
度か会いました。
五日に一度は、会っていたでしょ
うか。


 
  第四章 一ヶ月に一度の出会い



寒さの厳しい諏訪にも、ようやく
あたたかな春がやってきました。
諏訪湖の氷も、とけはじめました。



今日は、次郎と会う日。
きよは、湖のまわりを歩いていく
ことにしました。
湖のまわりを歩くと、氷の上を歩
く何倍もの時間がかかります。


           つづく



    昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100402#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。