火とぼし山


   火とぼし山27


きよは、一分でも早く、次郎の所
へ行ける方法はないものかと考え
ました。
「湖を泳いで行ったらどうだろう」
きよは、湖の中へ手を入れてみま
した。



氷がとけ始めた湖は、驚くほど冷
たく、泳いでいくことは無理でした。
きよは、次郎のことを考えながら、
湖のまわりを足早に歩いて行きます。



しかし、歩いても、歩いても、なか
なか次郎の所へたどりつけません。
何時間もかけ、やっと次郎の所へ
つきました。



「次郎さん。今夜は、湖のまわり
を歩いてきたの。
だから、遅くなってしまった。
次郎さん。会いたかったわ」


           つづく



    昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100403#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。