火とぼし山30
「おれ、きよちゃんと会う日には、
家に用事があるといって、ここへ
きていたんだ」
「次郎さん。なぜ、ほんとのこと
を、主人にいわなかったの。
最初にきちんと話しておけば、な
んでもないことなのに。
次郎さんは、私と会うことが迷惑
だったの」
きよが、強い口調でいいました。
次郎は、こんなきよをみたことが
なかったので、びっくりしました。
「いや、ちっとも迷惑ではない。
ただ、きよちゃんのことを、主人
に話せなかったんだ」
「なぜ話せなかったの」
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100408#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。