火とぼし山37
何時間もかけ、やっと次郎の所へ
つきました。
「次郎さん。会いたかったわ」
「きよちゃん。遠い所をご苦労さま。
一カ月は、ほんとに長かったね」
次郎は、笑顔できよを迎えてくれ
ました。
きよは、次郎の笑顔をみてほっと
しました。
二人は、一カ月間のできごとを、夢
中で語りあいました。
楽しいひとときでした。
「きよちゃん」
「次郎さん、何?」
「おこらないで聞いてくれる」
「何なの、次郎さん」
「きよちゃんには、今まで何でも
話してきた。
おれ、かくしごとをしたくないの
で、おもいきって話す。
きよちゃん、おこらないでね」
次郎は、再び念をおしました。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100415#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。