火とぼし山


   火とぼし山39


次の朝。
「ねぇ、次郎さん。今度はいつ会
えるの」
きよが、いつものように聞きました。
「今、野良の仕事が忙しい。
だから、今度会うのは、一カ月後かな」



「一カ月後? そんなのいや。
私、毎日でも次郎さんに会いたい」
「きよちゃん。毎日なんて無理だよ」
「次郎さんは、私と会うのがいやに
なったんじゃないの」
きよが、さみしそうにいいました。



「そんなことはない。
おらは、きよちゃんと会うのを楽し
みにしている」
「じゃあ、一カ月後、次郎さんに会
えるのを楽しみにしているわ」
「おらも、楽しみにしているよ」
そういって、二人は別れました。


            つづく



    昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100417#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。