火とぼし山


    火とぼし山42


きよは、「とてもおもしろい人」
「大きな農家の一人娘」「養子」
ということばが、気になりました。
貧乏なわが家と違い、その人の家
は裕福なんだろうなと、きよは思
いました。



「次郎さんは、これからもその人
とつきあうの」
「おらは、つきあう気はない。
でも、その人が、これからもつき
あってほしいというんだ」



次郎さんが、誰とつきあおうと勝
手だ。でも、私とだけつきあって
ほしい。
きよは、心の中で強くさけびました。



次郎さんは、小さな時から、私の
ことを思っていてくれると信じて
いた。
でも、次郎さんの心の中には、見
合いをした人が住んでいるのでは
ないだろうかと、きよは思いました。


           つづく



    昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100420#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。