火とぼし山54
「次郎さん、魚よ」
「魚?」
「泳いでいる途中、つかまえたの。
後で焼いて食べよう」
きよは、次郎に魚をわたしました。
「きよちゃん。早く髪をかわかさ
ないと、かぜをひくよ」
次郎は、自分のてぬぐいを、きよ
にわたしました。
きよは、そのてぬぐいで髪をふき
ました。
次郎のにおいが、ぷーんとしました。
きよと次郎は、いつものように、一
晩中語りあかしました。
楽しいひとときでした。
その後。
きよが、次郎の所へたどりつく時間
が、だんだんに早くなりました。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100502#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。