火とぼし山


    火とぼし山58


そういえば、きよちゃんが持って
くるとっくりは、驚くほど熱い。
きよちゃんの手は、たしかに熱い
けれど、あのとっくりの熱さは異
常だ。



次郎の心の中で、きよに対する疑
いがどんどんふくらんでいきました。
その一方で、次郎は思いました。
おらは、小さな時から、きよちゃ
んが大好きだった。
そんなきよちゃんに、なぜ疑いの
気持をいだくのだろうか。



きよちゃんが、魔物であるはずは
ない。
小さな時から大好きだったきよち
ゃんに、疑いの気持をいだくなん
て、おらはどうかしている。
次郎は、自分の気持をコントロー
ルすることができなくなっていま
した。


            つづく



    昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100506#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。