火とぼし山64
「私と次郎さんは、これからどう
なるのだろう。
いつか次郎さんと別れる日がくる
のだろうか」
きよは、不安な気持で、毎日を過
ごしました。
第七章 新しい出発
九月八日。
残暑のきびしい日でした。
今日は、次郎と会う日。
「とうちゃん、かあちゃん。これ
から次郎さんの所へ行ってきます」
「きよ、気をつけて行くんだよ。
次郎君によろしくな」
父と母が、庭先まで見送ってくれ
ました。
きよは、元気よく家を出発しました。
「無事に向こう岸へ渡れますように」
そう祈りながら、きよは湖を泳ぎ始
めました。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100512#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。