火とぼし山


   火とぼし山70


「明神さま。これからうずのまわ
りを歩きます。
どうかわしらをしっかりお守りく
ださい」
手長と足長は、心の中で明神さま
にお願いしました。



「よし、わかった。手長、足長。
きよのことをたのんだぞ」
どこからか、明神さまの声が聞こ
えてきました。



手長は、長い手で、うずの中をか
きまわしました。
しかし、何もひっかかってきません。
「あぶない。あなた、気をつけて」
「手長。おまえこそ、気をつけろ」



二人は、何度もうずの中へひきこま
れそうになりました。
「手長、もうやめよう。こんなこと
をしていると、わしらまでうずにま
きこまれてしまう」


           つづく



    昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100518#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。