火とぼし山


   火とぼし山72


きよは、水を飲んでいるのか、ぐっ
たりしています。
「早く水をはきださなくては」
手長と足長は、きよをかかえ岸に
あがりました。
そして、水をはきださせました。



「きよ」
「きよ」
二人は、何度もきよの名をよびま
した。
でも、きよの意識はもどりません。
「明神さま。今、きよを助けました。
しかし、意識がもどりません。
どうしたらよいでしょうか」



「きよを、わしのやしきへ運んでくれ」
「はい、わかりました」
手長と足長は、明神さまのやしきへ、
きよを運んでいきました。


          つづく



    昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100520#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。