火とぼし山75
「次郎さんは、なぜそんなことを
したのでしょう」
「おまえが、じゃまになったから
じゃ」
「私が、じゃま?」
「そうじゃ」
「私が、じゃまだなんて」
「次郎は、大きな農家の一人娘と
つきあっていただろ。
主人から、姪と結婚してほしいと
いわれ、どうしたらよいのかわか
らなくなってしまったのだろう。
次郎は、小さな時から、おまえの
ことが大好きだった。
でも、将来を考えると、大きな農
家のむこになった方がいいと思っ
たのだろう」
「そんな・・・」
そういったまま、きよはだまって
しまいました。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100523#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。