火とぼし山


   火とぼし山78


心がはなれてしまった人に、いく
ら心をよせてみてもどうなるもの
ではない。
次郎のことは、忘れてしまいなさい。



そして、一日も早く、きよにふさわ
しいすてきな人をみつけてほしい。
明神さまは、眠り続けるきよの顔を
みながら、心の中で話しかけました。



三日後。
きよの意識がもどりました。
「きよ。気がついたか。
よかったのぅ」
明神さまが、ほっとした顔でいい
ました。



「きよ?」
「おまえの名前じゃ」
「私の名前は、きよというのですか」


           つづく



    昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100526#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。