火とぼし山


   火とぼし山83


次の朝。
「きよ。目がさめたか」
「はい。あなたは?」
「わしは、足長じゃ。
そして、こちらが手長」



「私を、淵から助けてくれたかたで
すね。
その節は、大変お世話になりました。
助けていただきありがとうございま
した」
きよは、手長と足長にお礼をいいま
した。



「きよ。ここは、静岡じゃ」
「静岡?」
「そう、静岡じゃ。
きよは、これからここで暮らすのじゃ。
このおばあさんと一緒にな」
足長がいいました。


            つづく



    昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100531#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。