ふしぎな鈴31
「やさしいとうちゃんだった。
私はとうちゃんが大好き」
かなは、心の中で何度もそうつ
ぶやきました。
おとうさんがなくなった夜のこ
とです。
「リーン・リーン・コロンころん」
「リーン・リーン・コロンころん」
誰が鈴をふっているのでしょうか。
どこからか鈴の音が聞こえてきま
した。
まっくらな部屋の中で、柱時計の
上だけが、明るくきらきらと輝い
ています。
よく見ると、黄金色の鳥が、柱時
計の上にとまっています。
見たことのない、美しい鳥でした。
つづく
前回の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100713#p2
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100610#p1
「ふしぎな鈴」は、みほようこの
三冊目の童話。
2005年9月、「鳥影社」から
発行されました。
リーン・リーン・リーン。…
五百年の時をへて、心やさしい小
桜姫と現代の少女をむすぶ、美し
い鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっ
と教えてくれたお話。