ふしぎな鈴45
「かな、いいものをあげよう。
桜の鈴だよ。ほら、いい音がす
るだろう」
「リーン・リーン・リーン」
校長先生が鈴をふると、鈴虫が
鳴いているような音色が、あた
りにひびきわたりました。
「かな、この鈴をふるとね、花
や小鳥とお話ができるのだよ。
でも、本当にやさしい心をもっ
ている時しか、花や小鳥とお話
することはできない。
かなが今のようなやさしい心を
ずっともち続けることができれ
ば、かなが好きなお月さまや星
とも、話ができるようになるよ」
「わぁ、うれしいなぁ。
もしかして…もしかして…その鈴
は小桜姫さまが大切にしていた鈴
ですか?」
つづく
前回の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100727#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100610#p1
「ふしぎな鈴」は、みほようこの
三冊目の童話。
2005年9月、「鳥影社」から
発行されました。
リーン・リーン・リーン。…
五百年の時をへて、心やさしい小
桜姫と現代の少女をむすぶ、美し
い鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっ
と教えてくれたお話。