ふしぎな鈴


    ふしぎな鈴62


遠い昔、三浦家に伝わったリュッ
クで、行きたいと思う所へ、さっ
と飛んでいけるふしぎなリュック
なのです。
かなさんが好きな月や星へも行け
ますよ。



なくなったおとうさんたちが住ん
でいる国へも、飛んで行けるので
すよ」
リュックはそういいました。
かなと先生は、びっくりしてただ
顔をみあわせるばかりでした。



「十年後、この丘の桃の花が満開
になった日、かなさんが行きたい
と思う所へ、つれていってあげま
しょう」
そういうと、黄金色のリュックは、
またもとの灰色のリュックにもど
ってしまいました。
気がつくと、鈴ももとの鈴にもど
っていました。



「十年後、桃の花が満開になった
日、またこの丘であおう」
「先生、きっとよ。
いつまでも私のことわすれないでね」


            つづく



    前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100813#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100610#p1



「ふしぎな鈴」は、みほようこ
三冊目の童話。
2005年9月、「鳥影社」から
発行されました。









リーン・リーン・リーン。…
五百年の時をへて、心やさしい小
桜姫と現代の少女をむすぶ、美し
い鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっ
と教えてくれたお話。