笛の音よ、永久にひびけ


  笛の音よ、永久にひびけ5


「えーい、めんどうだ。あの木も
この木も、みんな切ってしまえー」
風にのって、人間たちの声が聞こ
えてきました。
その声は、なげやりでらんぼうな
声でした。



「仲間の木が、切られてしまうの
だな」
かえでは、さみしく思いました。
「まさか、丘の上のわしの所まで
はこないだろう」
かえでは、安心していました。



ところが・・・。
人間たちが、丘の上までやってき
たのです。
「大きなかえでだねぇ」
「こんなかえでは、みたことがない」
「しかし、かえでだけ残しておくわ
けにもいくまい」


              つづく



   前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100824#p2



   初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100821#p2



「笛の音よ、永久にひびけ」は、
スキー大会の会場をつくるために
きりたおされた、信州の志賀高原
の樹令200年の楓のお話。



童話「笛の音よ、永久にひびけ」
は、みほようこの四冊目の童話集・
「ライオンめざめる」に収録され
ています。