笛の音よ、永久にひびけ


   笛の音よ、永久にひびけ6


「どうしたら良いだろう」
「切るよりしかたがないね」            
こんな声が聞こえてきました。
かえでも、仲間の木といっしょ
に、切られてしまうことになっ
たのです。



この丘での楽しかった思い出が、
まるで昨日のことのように、か
えでにはなつかしく思い出され
ました。
「とうとう、わしも切られてし
まうのか」
かえでは、さみしく思いました。



「人間たちは、なぜ森の木を切
るのだろう。
森では、木や草や動物たちが、仲
良く助け合って暮らしているのに」
かえでは、大きなため息をつきま
した。


            つづく



   前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100825#p1



   初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100821#p2



「笛の音よ、永久にひびけ」は、
スキー大会の会場をつくるために
きりたおされた、信州の志賀高原
の樹令200年の楓のお話。



童話「笛の音よ、永久にひびけ」
は、みほようこの四冊目の童話集・
「ライオンめざめる」に収録され
ています。