笛の音よ、永久にひびけ8
「ほんとうだよ。わしも切られて
しまうことになった」
「えっ、かえでのおじさんも?」
「ああ・・・わしもじゃ」
「森の木がなくなると、さみしく
なってしまうね。
わたしたちは、これからどこで暮
らしたらよいのかしら」
「さあ・・・どこで暮らしたら良
いかのぅ。
わしも、森の仲間たちのことが心
配じゃ」
かえでが、さみしそうにいいました。
二ヶ月が過ぎました。
かえでは、最後の葉を、たくさん
つけることができました。
「最後の葉を、つけることができ
たぞー」
かえでは、大声でさけびました。
そして、大きな体を、ゆっさゆっ
さとゆらしました。
つづく
前回の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100827#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100821#p2
「笛の音よ、永久にひびけ」は、
スキー大会の会場をつくるために
きりたおされた、信州の志賀高原
の樹令200年の楓のお話。
童話「笛の音よ、永久にひびけ」
は、みほようこの四冊目の童話集・
「ライオンめざめる」に収録され
ています。